キャリアコンサルタント登録の“壁”と、その先にある可能性

国家資格キャリアコンサルタントの試験に合格した──その瞬間、多くの人が達成感とともに未来への期待を抱くことでしょう。しかし、実はそこが本当の「スタート地点」ではありません。
この資格は「登録制」です。試験に合格しただけでは、キャリアコンサルタントを名乗ることも、活動することもできません。合格後には、所定の登録手続きと費用負担が必要になります。
その現実に直面し、「ひとまず様子を見よう」「もう少し考えてから登録しよう」と、歩みを止めてしまう人も少なくないのです。
登録の流れと費用負担
キャリアコンサルタントとして活動するには、「キャリアコンサルタント登録センター」への登録が必要です。登録申請には、次のような手続きと費用がかかります。
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- 学科・実技の合格証明書
- キャリアコンサルタント登録申請書・登録申請補足書類の提出
- 登録免許税:9,000円(国に納付)
- 住民票(マイナンバーの記載が無いもの)
- 登録手数料(審査完了の完了通知後):8,000円
登録は5年間有効で、更新には更新講習の修了および更新申請(約12万円前後)が必要です。
「せっかく合格したのに、さらに費用がかかるのか……」と感じる方も少なくありません。実際、費用や制度の煩雑さを理由に、登録を見送る人も一定数存在します。
登録の“意味”とは何か
登録をためらう背景には、「登録しても仕事がないのでは?」「名ばかり資格になってしまうのでは?」という不安もあるでしょう。確かに、キャリアコンサルタントの求人は限定的で、フルタイムの正社員ポストも少ないのが現状です。
それでも、登録をすることには大きな意義があります。
たとえば、公的機関や企業によっては、「キャリアコンサルタント有資格者(登録済み)」であることが業務委託や採用の前提条件となっているケースもあります。つまり、登録していなければ、応募の“入り口”にすら立てない場面があるということです。
また、登録者は国家資格者として「名称独占」が認められ、信頼と責任を持った専門職として扱われます。名称を使うためには、登録を通じて、一定の倫理観・専門性・社会的責任を負うことが求められるのです。
登録を通じて、つながる可能性
登録をすると、単に「資格者として名乗れる」だけではなく、いくつかの実利もあります。
たとえば、登録者向けにスキルアップ講習や最新情報の提供、セミナーやネットワーキングの案内が届くようになります。これらを通じて、他のキャリアコンサルタントと出会い、実務の機会や連携の可能性が広がっていくこともあるでしょう。
実際に、「登録をきっかけに副業のチャンスが生まれた」「意識が変わり、動き始めるきっかけになった」という声も多く聞かれます。
「登録」はゴールではなく“スタート”
キャリアコンサルタントの登録制度は、面倒な手続きや費用が伴う一方で、「名乗る覚悟」を問われる制度でもあります。試験合格という達成感の先に、「この資格でどう社会と関わるのか」という問いが待っているのです。
迷いながらでも構いません。登録という第一歩を踏み出すことで、動き出す学びや出会い、機会は確実に広がっていきます。
キャリアのプロフェッショナルとして、まずは自分自身のキャリアをデザインするところから始めてみませんか?