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キャリアコンサルタントの“求人”が少ない理由と、これからの可能性

国家資格キャリアコンサルタントが制度化されて数年。受験者・登録者ともに増加傾向にある一方で、こんな声をよく耳にします。

「資格を取ったのに、求人が見つからない」
「正社員として働ける場が少ない」
「副業や業務委託ばかりで不安定」

資格を取れば活躍の場が広がると期待していた人ほど、この現実に戸惑いを感じているかもしれません。では、なぜキャリアコンサルタントの求人は“少ない”のでしょうか? その背景と、これからの可能性について考えてみたいと思います。


求人が少ないと感じる理由

■ 専任ポジションが確立されていない

多くの企業では「キャリアコンサルタント」という職種がまだ一般的ではありません。その業務内容は人事、教育、労務、産業保健などに分散されており、キャリア支援に特化した専任職としてのポジションは非常に限られています。

また、組織内にキャリア支援の重要性が十分に浸透していない企業では、そもそもポストそのものが存在しないこともあります。

■ 公的機関や委託事業が中心

実際に「キャリアコンサルタント」として活躍している場の多くは、公的機関(ハローワーク、大学、ジョブカフェなど)や自治体・企業からの委託事業です。これらは非常勤や業務委託としての募集が多く、収入の安定性やキャリアの継続性に課題を感じる人も少なくありません。


求人情報を探すコツと広げ方

■ 「キャリアコンサルタント」では出てこない求人

求人検索で「キャリアコンサルタント」と入力しても、ヒットする数はわずかです。実際には「キャリアアドバイザー」「就職支援担当」「人材コーディネーター」など、異なる職種名で募集されているケースがほとんど。

そのため、「職種名」ではなく「業務内容」や「キーワード(例:面談、キャリア支援、転職相談など)」で探す視点が必要です。

■ 副業・兼業・プロボノという選択肢

近年では、自治体の就労支援プログラムや、企業のリスキリング支援事業、NPO法人など、さまざまな形でキャリア支援のニーズが拡大しています。

必ずしも“専任”にこだわらず、まずは副業や兼業、あるいはボランティア的な活動として関わることで、経験や実績を積み、次のステップにつなげることも一つの戦略です。


今後の求人市場はどうなるか?

■ 社会的ニーズは確実に高まっている

少子高齢化、働き方改革、副業解禁、定年延長――時代の変化とともに、「個人が自らのキャリアを考えること」の重要性はますます高まっています。

国も「セルフ・キャリアドックの導入」「人への投資の強化」などを掲げており、企業内でキャリア支援を担う人材への期待は確実に広がっています。

■ 「企業内キャリア支援」の定着がカギ

今後、注目すべきは「社内キャリア支援」の分野です。採用した人材を“定着・育成”し、長く活躍してもらうには、内面的なモチベーションや将来像に寄り添う支援が不可欠になります。

人事部門と連携しながら、社内キャリア面談を行うポジションが、今後広がっていく可能性があります。


求人が少ないのではなく、“見えづらいだけ”

求人が少ない、と感じる背景には、「情報の見つけづらさ」「職種名の多様さ」「働き方の柔軟さ」など、複数の要因が絡んでいます。けれど、それは裏を返せば、「キャリアコンサルタントとして働ける場は、思っている以上に多様である」ということ。

自らの経験や専門性を活かせる“場”を、自分自身で見つけていく姿勢が求められる時代。まさに、キャリアコンサルタントこそが、自分のキャリアをデザインして体現していく存在になれるのではないでしょうか。

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