キャリアコンサルタントのマイキャリア ~増井 一~

毎回、キャリアコンサルタントの方々が、「なぜキャリコンになったのか?」
「どのように仕事を作りだしてきたか」をレポートしていきたいと思います。
今後は企業分野・教育分野・公的支援分野のキャリアコンサルタントの方々にも
ご登場いただく予定です。

第2回 キャリアコンサルティング振興協会 常務理事 増井 一
「キャリアコンサルタントとの出会い・・・」

大学を卒業した私は、製薬会社の営業職(MR)となりました。自社製品に愛着が持てるメーカーに惹かれ、製薬業界に絞り込み、事務職の人事を希望しましたが、文系の採用はMRのみでした。そこで、人事課長に「営業職を経験後に人事で勤務することは出来ますか」と聞くと、「将来、人事への異動も可能だが、その前に優秀なMRになることだね」と、仕事の経験がない私に、会社内のキャリア形成の原則を教えてくれました。その人事課長が最後に言った「優秀なMRになることは必要だが、人事を希望するならNO1になってはいけないよ」という言葉で、私はその会社への入社を決めました。その人事課長には定年になられるまでお世話になりましたが、私が初めて会ったキャリア・コンサルタントだと思います。

その後、上司とのキャリア面談で人事への異動を希望したのですが、実現せぬまま10年が過ぎました。そんな折、労組の委員長から書記長をやらないかと誘いがありました。私は、キャリアチェンジするチャンスと考え、引き受けることにしたのですが、これが企業人生の大きな分岐点となりました。労組では、自分の人生は自分でデザインして欲しいという思いで、40歳を対象としたライププラン研修を開始しました。

希望していた人事部への異動は、入社17年目に実現しました。それは、外資系製薬会社との合併を3~4年ごとに繰り返す時期でした。労務担当として最初に取り組んだのは、合併による余剰人員の削減でした。2社または3社の合併のため、本社要員以外にも工場や研究所の閉鎖をともなう大規模なものでした。早期退職優遇制度による退職金加算や再就職支援などを行いましたが、希望退職というよりは指名解雇に近いものでした。

そこで、臨床心理士や保健師と連携して、<自殺者を出さない>メンタル相談体制と、キャリア・コンサルタントと連携して、<個人の人格や尊厳を傷つけない>キャリア相談体制を整えました。社会人経験が豊富なキャリア・コンサルタントからは、会社からの不本意な通告をどのように受け止め、今後のキャリアをどのように考えるか、一人ひとりにじっくりと時間をかけ相談を行うことの大切さを学びました。社員に寄り添うとはどういうことなのか、キャリア・コンサルティングの基本を教えてもらいました。

一人ひとりに向き合うキャリア研修

その後も人事制度の設計・採用・教育研修などを様々な仕事をしてきましたが、社員の高齢化とともに、中高年社員のモチベーション低下が顕在化してきました。その背景には、若手登用のための役職定年や昇給抑制等々、中高年社員の意欲、やる気を削ぐ要因が多々あるのです。また、高年齢者雇用安定法の改正で65歳までの雇用が義務化され、60歳以上の社員が急増していきました。どうしたら中高年社員が今の仕事に働きがいや生きがいを持てるのかを模索する日々が続きましたが、そんな時期に私はキャリア・コンサルタントの資格を取得しました。
中高年社員は、これまでの社会人生活でいろいろな経験をしているし、一人ひとりを取り巻く家庭環境も様々である、このような多様な価値観や仕事観を持つ個々人に対し、一律的な対応することでは、個々人の問題を解決出来ないのではないかと考えると、採るべき方策が少し見えてきました。キャリア・コンサルタントになるための学びを通じ、視野が広がっていました。
これまで、キャリア形成を会社に委ねてきた中高年社員ですが、今後の仕事、老後の人生については自らが選択する。そのため、徹底して自分に向きあい、自分が大切にしていることやどうしても実現したい事を認識する。そして、意思決定に必要な情報は人事ができる限り提供する・・・。そう考え、一人ひとりに向き合うキャリア研修がスタートしました。

キャリア研修には、これまでの職務経歴をまとめて仕事史を作成するなど、たくさんの事前課題が出されます。しかし、受講生全員が事前課題を作成しています。後輩に対して「この研修は役に立つ」、「ぜひ参加した方がいい」といった声が聞かれるようにもなりました。
この研修を受け身でなく、自分事と捉えているのですが、それは「キャリア自律」への第一歩を踏み出しているのです。
キャリア相談では、人事や上司には言いたくない、言いにくいことでも、一人ひとりに向き合うキャリア・コンサルタントには話すことが出来ます。人事部に属する私であっても、一人ひとりに向き合い続けることで、多くの相談が寄せられるようになりました。
キャリア・コンサルティングには、一人ひとりに真摯に向き合うキャリア・コンサルタントの姿勢がとても大切なことを、今さらながら痛感しています。

                                  

プロフィール

増井 一

増井 一

一般社団法人 キャリアコンサルティング振興協会 常務理事
2級キャリア・コンサルティング技能士
1級ファイナンシャルプランニング技能士 (資産設計提案業務)
シニアライフ・相続アドバイザー

製薬会社において、MR・総務・人事に 携わりながら、社内のキャリア相談員 として、キャリアおよびファイナン シャル相談に長年従事してきた。多く のキャリア・ファイナンシャルの相談 や研修講師としての経験から、現場で 必要とされる知識やノウハウを多く有 している。

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