キャリアコンサルタントのマイキャリア ~竹安英治~

毎回、キャリアコンサルタントの方々が、「なぜキャリコンになったのか?」
「どのように仕事を作りだしてきたか」をレポートしていきたいと思います。

第4回 キャリアコンサルティング振興協会 監事 竹安英治
「キャリアの分岐点は、プロとしての姿勢を問われた厳しい言葉」

私は自然科学が好きで、自然に関わる仕事をしたいと思っていました。
社会人になってから「天候を解析し、その情報を人に伝える仕事」として気象予報士になりたいと考えるようになりました。広い空の下で活き活きと働くイメージを持っていましたが、結果的には希望の分野に進むことはできませんでした。

大学卒業後、入社した会社で配属されたのは事務部門。
朝から夕方までの室内での仕事は、自然の中での仕事を希望していた自分の思いとは程遠く、精神的な負担を感じながらの毎日でした。仕事に対する意欲はあるのに前向きになれない日々が続きました。ストレスを強くじながらの仕事はミスも多かったように思います。
人にはそれぞれ向き不向きがあり、不得意な環境で仕事をすると力を発揮できないのではないかと、そのときからなんとなく感じていました。

5年後、私は人材会社へ転職し、営業職として仕事を始めることになりました。
初めての人と関わる仕事は様々な経験になりましたが、ここでのある人との出会いが私のキャリアの分岐点になったように思います。人材派遣会社の営業マンとして、仕事の受注と派遣社員の就業支援を担当し、日々実直に仕事をこなしていました。

ところが契約を交わした派遣社員が当日出社しない、出社しても数日で辞めてしまう、突然音信不通になってしまうというような事が頻繁に続くのです。お客様から毎日のように叱責を受け、それがストレスとなって営業にも無意識にブレーキがかかるようになってきました。

つらい日々が続き、先々に不安を感じ始めていましたが社内では弱音をはくことはできませんでした。
このときに感じていたのが『この気持ちを誰かに聞いてもらいたい』というもの。まさしくキャリアコンサルティングを求めていたのだと思います。

人材派遣会社の営業マンのプロとしての姿勢について考えを新たにした言葉

このとき幸運にも私の話に耳を傾けてくれる人が現れました。
その人は私の話を聞き、苦しい気持ちをしっかりと受け止めてくれました。
その上で次の二つの質問を投げかけられたのです。「トラブルになった派遣社員を選んだのは誰か」、そして「あなたは給料をもらっているのか」というもの。

私はすぐにトラブルとなった派遣社員を選んだのは私自身、そして給料は当然会社からもらっていると伝えました。この返事に対して返された言葉が私のキャリアに強い影響を与えたのです。

「給料をもらっているのなら、あなたはプロだ。プロが選んだ人がトラブルを起こしたのであれば、トラブルの原因は選んだ側のあなたにある。トラブルはあなたの責任である。派遣社員ではなく、あなたが悪い。それなのに、その原因を人に押し付けてどうするんだ、それでもプロか」という厳しいものでした。

自分が被害者だと思っていた私にとってこの言葉は衝撃でした。大変ショックを受け、そして反発の思いもありました。
しかしこの言葉がエネルギーとなり、新たな未来を切り開くきっかけとなります。
このときの悔しい気持ちから「トラブルが発生しない新たな仕組みを生み出してみせる」ということを心に誓ったのです。
そしてプロとしての姿勢についても考えを新たにしました。このときの実体験が、今のキャリアコンサルタントとしての根底にあると思います。

人が安心して仕事ができる環境

トラブルが発生しない仕組みを生み出したいという私の考えに対し、周りはそんなことは不可能だと冷ややかでした。しかし私には「合わない環境では人はストレスを感じ、力を発揮できない」という過去の体験がありました。この逆を考えればいいのではないか、そうすれば人は安心して仕事ができるのではないかという思いを持っていました。

そしてプロとしてこれを解決したいという強い意志を持ちました。

その後、多くのトラブルデータを蓄積し、成功事例を追跡調査し、そしてそれらに基づいた就業実験を繰り返し、1990年に7分で就業結果を予測するアセスメントプログラムの開発に成功しました。そしてこれをASKと名付けました。
このとき分析したデータは4万件を超えていました。

その後このプログラムは就業実績に基づいているとして、採用分野で高い評価を受け、通信・銀行・運輸・製造・サービス・教育・研究開発など様々な分野の人材関連企業が利用することになりました。
現時点で被験者数は400万人を超えています。また2011年、キャリアコンサルティング支援のためにキャリアガイドライン(CGL)というプログラムをリリースしました。求職者のキャリア形成を援助するためのプログラムです。

これによってキャリアコンサルティングの現場で、求職者の価値観の明確化が効果的に促進されるようになりました。

気象予報士として天気を解析・予報する夢は実現しませんでしたが、開発したプログラムを通して、人の心を解析し、クライエントの自己理解を支援するという役割は果たせるようになったと思っています。

一人ひとりへの関わりを大切にしていきたい

現在、上記開発とは別に一般のクライアントの方に対して個別のキャリアコンサルティングを行なっています。一人ひとりの悩みは様々、多様です。また解決には時間かかるものです。それでもしっかりと寄り添いながら耳を傾けていきます。コンサルティングに並行してできるかぎりの情報収集を行い、多くの引き出しを準備し、そして機が熟すまでじっくりと待って最善と思える情報の提供を行なうようにしています。

硬かった表情が回を重ねるごとに徐々に明るく変わっていくのはコンサルタントとしてとても嬉しい体験です。今後もこのような一人ひとりへの関わりを大切にしていきたいと思っています。

『個々の環境適性の理解』、『プロとしての意識』、『現場での真摯な姿勢』を常に心に留めてこれからもキャリアコンサルティングに携わっていきたいと考えています。
これから、キャリアコンサルティングの世界での活動を考えている人には、広いネットワークを持つこと、そして一歩踏み出す勇気と実践力を持ち続けていただきたいと考えています。

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2016.6.1

キャリアコンサルタントのマイキャリア ~戸田裕子~

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